フィン分析委員会
 
学究フリーダイバー、藤本浩一とその仲間のフィン分析
 アプネアに興味のある方なら、フィンについて一度くらいは感心を持たれた事があるかと思います。「どのフィンが自分にあっているのかな?」とか「ロングフィンなんて自分に使いこなせるかな?」と思った事が 誰しもある事でしょう。そういう時に多くのフィンについて、統一した基準で比較したものがあれば、自分の体力やダイビングスタイルに合うフィンによって、すばらしいアプネアの世界がより安全に、より自由に経験できるのではないかと考えました。このような事から現在市場に出回っているフィンに関して、統一した基準を用いた分析表を作製しようと試みました。
  そこでこの度、以下のような分析表のβ版をフィン分析委員会を勝手に組織して作ってしまいました。
 
メーカー:Cressi-sub
フィン名
A
B
C
D
E
F
G
H
Rondine GARA (gray blade)
3
3
3
3
3
3
3
男性 162cm/52kg
 
3
3
3
3
3
3
3
男性 170cm/61kg
Rondine GARA 2000
3
5
2
4
2
4
1
男性 162cm/52kg
 
3
4
2
3
3
4
2
男性 170cm/61kg
Rondine GARA 2000
5
3
4
3
4
1
3
男性 170cm/61kg
A

硬さ

B しなり
C しなった後の返りの速さ D 少ない力発揮下の推進力
E 最大努力下での推進力 F 水面移動のしやすさ
G I-Yの屈折点 H 分析者の特性
フィンの屈曲点についてはフットポケットの方を1とし先端の方を5とする 。
 
分析者のコメント
 Rondine GARA(以下GARA)は若干ですが硬いブレードで、しなりも返りの速さもバランスが良く、フットポケットも硬く深い作りになっています。このフィンは、水深の浅い所でも適当に遊ぶことが出来るし、-30mくらいでもしっかり働いてくれます。このことから、このフィン分析表では、現在廃版となりましたがGARAをひとつの基準として作製しました(という事で評価がすべて3なのです)。後継機種である2000は、分析表では硬さはGARAと同じく3とありますが、GARAより若干柔らかくなっており、さらにフットポケットも、人間の足型にマッチしたフィット感のすばらしいものに進化しました。しかしGARAに比べて、しなった後の返りが遅くなったため少し反応が鈍くなった感じがするのと、ポケットが浅く柔らかい作りになったため、-30mくらいから戻って来るときに少し頼りなさがあります。一方でブレードやポケットが柔らかくなったので、エント リーモデルとしては最適なフィンの一つであると考えられます。
  本国イタリアのカタログには、もう2000の後継機種として2000LDというモデルが掲載されています。2000LDは、カタログによると2000よりも30%柔らかく、20% 柔軟性(しなり)が増し、10% 長くなったとの事でした。ということは2000LDはさらにエントリーモデルとしてお奨めではないかと思います。
  2000HFについては現在市場に出回っているフィンのなかでも最も硬いフィンの1つで「ultra stiff」とか「材木のよう」とか巷では噂されます。しかしながらCressi-subがサポートする著名なフリーダイバーの数多くが使用しています。硬さについては使用しているうちに慣れてきてあまり気にならなくなり、-30m付近でのパフォーマンスも安定感や信頼感があります。力は要りますが、驚くほど速い速度で潜行もできます。ただ 水面移動がしにくいので、潮流に流された時の事を考えると、安全のためビーチエントリーで使うのは泳力や体力に自信のある強者でないと厳しいかもしれません。フットポケットの形状は2000や2000LDと全く同じですが、HFのほうは硬く仕上がっています。
 
メーカー:Mares
フィン名
A
B
C
D
E
F
G
H
Attack
1
5
3
3
2
4
1
男性 180cm/72kg
A

硬さ

B しなり
C しなった後の返りの速さ D 少ない力発揮下の推進力
E 最大努力下での推進力 F 水面移動のしやすさ
G I-Yの屈折点 H 分析者の特性
フィンの屈曲点についてはフットポケットの方を1とし先端の方を5とする 。
 
分析者のコメント
 水面移動は何の抵抗感も感じられないほどスムースであり、しなりはフットポケット部から曲がる感じで驚異的なほどです。あまりにも根元からしなるため何も履いていない感じがします。2000よりも女性には使いやすいと思われます。蹴りこみが楽すぎる反面、推進力が物足りない印象がありますが、特記すべきはやはり驚異的なまでの根元からの屈曲であり、根元以外の部位でのブレードのしなりはほとんど感じられません。このことより水深を-30m以上取るような場合ではブレードが柔らかすぎるため、戻ってくるのが大変かと思います。もっと根元付近でのスナップの力強さがあればより完成度の高いブレードになると考えられます。
 
メーカー:Picasso
フィン名
A
B
C
D
E
F
G
H
Black team (black blade)
4
3
3
3
4
2
3
男性 162cm/52kg
A

硬さ

B しなり
C しなった後の返りの速さ D 少ない力発揮下の推進力
E 最大努力下での推進力 F 水面移動のしやすさ
G I-Yの屈折点 H 分析者の特性
フィンの屈曲点についてはフットポケットの方を1とし先端の方を5とする 。

分析者のコメント
 少し硬めのフィンなのですが、バランスがよく、-40m付近における、かなりマイナス浮力の増加した環境からでも、しっかり帰ってくることができます。フットポケットは甲高で、硬さのあるしっかりとした作りです。トータルなパフォーマンスを考えると、非常に高いレベルにあるフィンなので世界中に愛用者が多く、ベストフィンの1つとしてこのフィンを挙げるダイバーも多いです。GARAを使っていて少しだけ硬さが物足りない とか、-30m以深でもっと力強い推進力が欲しいという方にはぴったりだと思います。
 
メーカー:OMER
フィン名
A
B
C
D
E
F
G
H
Rekord/Evolution
5
3
5
2
5
3
3
男性 162cm/52kg
 
4
4
5
3
5
2
3
男性 170cm/61kg
A

硬さ

B しなり
C しなった後の返りの速さ D 少ない力発揮下の推進力
E 最大努力下での推進力 F 水面移動のしやすさ
G I-Yの屈折点 H 分析者の特性
フィンの屈曲点についてはフットポケットの方を1とし先端の方を5とする 。
 
分析者のコメント
 Rekord/Evolutionはblack team (black blade)よりもさらに硬いフィンなのですが、2000HF程ではありません。フットポケットは硬く、カーボンのブレードは叩くとまるでプラスチックの水槽のようないかにも「壊れやすそう」な音がします。カーボンでできたブレードは壊れやすいと言われますが、解るような気がします。このフィンはしなったあとの返りの速さにはすばらしいものがあります。しかしながら、この返りの速さは思ったほどダイレクトに潜行速度に反映されません。-30m付近からのアセントは、さすがにカーボンフィンらしい安心感のあるいい感じのパフォーマンスを発揮します(ちょっと太ももに疲労感を感じますが)。また価格が500$と普通のフィンの2倍近く高価なのですが、それでは性能も2倍良いのかといえば、そうではないと思います。悪いフィンではないのですが、全般的なパフォーマンスを考えると、black team (black blade)と大差ないので、割り高感のするフィンであることは否めません。 また若干の亜種が存在し、塩化ビニールでブレードがコーティングされているプロモデル等が存在します。OMERは90年代前半からカーボンフィンを作製していますが、初期のころに比べて現在のモデルは柔らかくなったそうです。また分析表には載っていませんが、OMERにはTunaというシリーズがあります。これはblack teamなどと比べてしなりが少なく、「板きれ」のような感じがするのと、フットポケットの幅が狭いというのが難点であるとの情報があります。ちょっと扱うのが難しかなという印象をうけました。しかしながらヨーロッパでは広く一般的に販売されているフィンとの事です。
 
メーカー:Imersion
フィン名
A
B
C
D
E
F
G
H
JB/Esclapeza luminite
2
5
2
5
2
4
1
男性 162cm/52kg
(black blade)
2
5
2
5
3
4
1
男性 170cm/61kg
A

硬さ

B しなり
C しなった後の返りの速さ D 少ない力発揮下の推進力
E 最大努力下での推進力 F 水面移動のしやすさ
G I-Yの屈折点 H 分析者の特性
フィンの屈曲点についてはフットポケットの方を1とし先端の方を5とする 。
 
分析者のコメント
 Imersionのフィンは、各メーカーを通じて最も柔らかく作られていると思います。PicassoやOMERのフィンとは違う種類のフィンという印象をうけます。JB Esclapez aluminite (black blade)も柔らかいのですが、効率的によくしなるので推進力も十分にあり、少ない力で良く進むフィンです。屈曲点がフットポケットに近く、根元から先端にかけて大きくしなります。したがってフィンのしなりを利用してソフトに潜行するダイビングスタイルの方にぴったりかと思います。水面移動も楽で、長時間海で過ごすのにも適しています。このような事からエントリーモデルとしても推薦できるフィンです。さらに-30m付近からのアセントも硬いフィンに慣れた方は少しもどかしさを感じますが、それでも無難に働いてくれるとても万能なフィンです。フットポケットはポケット部分が大きいのですが、着脱は容易です。ちょっと踵のサポートが物足りない気がするので、踵に何らかの脱落防止を施して使用する方もいます。
  aluminiteはblack bladeの他にgreenとblueがあり、硬さはblack>green>blueとなります。blackで少し柔らかいという方はviolineというpurple bladeのフィンがあります。硬くもなく柔らかくもない万能タイプというフィンらしく、おそらくGARAか2000と同じくらいの硬さだと思うのですが、GARAの硬さとより多くのしなりを求めるならこのフィンではないかと思われます。さらに硬いモデルとしてNo-limitと呼ばれるものがあり、これはblack teamに似ているフィンとの情報があります。
 
メーカー:Spora-sub
フィン名
A
B
C
D
E
F
G
H
H Dessault (orange blade)
2
4
2
4
3
3
2
男性 180cm/72kg
H Dessault (black blade)
4
3
4
3
4
2
3
男性 180cm/72kg
A

硬さ

B しなり
C しなった後の返りの速さ D 少ない力発揮下の推進力
E 最大努力下での推進力 F 水面移動のしやすさ
G I-Yの屈折点 H 分析者の特性
フィンの屈曲点についてはフットポケットの方を1とし先端の方を5とする 。
 
分析者のコメント
orange bladeの硬さはGARAより柔らかく、水面移動もストレスなく行えるため、このフィンは長時間の水中活動に適していると考えられます。フィンの屈曲点は根元付近であり、ブレードは素直に曲がります。GARAよりしなるものの、その分かえりが若干遅いのが気になりますが、女性やエントリーレベルの方でも十分に使いこなせると思います。-30m付近でのパフォーマンスは、やや柔らかめなブレードがさらに柔軟になり、やや不安が残りました。したがってボトムでの安定感を考えると-20m前後のフリーダイビングに適していると考えられます 。
  フットポケットはかかとの部分を無理に引っ張ったり、長年の使用による劣化で裂けることがあるようです。また左右のポケットの大きさも微妙に違うのもや、同じサイズでも微妙な大小があるため、試し履きやフィンソックス等でサイズ調整を行う必要があるかもしれません。フットポケットは最新モデルでは改良されたため、最新モデルが先のような傾向があるかは不明です。 black bladeはGARAと2000HFの中間あたりの硬さを持つフィンで、black team(black blade)よりは硬いというフィンです。ブレード自体の厚さも5mmほどあり、水面移動はどちらかといえばやりずらい方です。硬いのですがしなりはGARAと同じくらいあるため、しっかり使うと耳抜きが追いつかないくらい早く潜行することができます。コシとかえりがしっかりしたフィンであるため、使いこなせれば-30mを越えるような潜水に十分使用できるモデルであると考えられます。一方で長時間の使用はかなり疲れると思いますので、あまりすすめられません。 フィンの屈曲点はorange bladeよりややフィンの先端側にあるようです。 フットポケットは縁の部分がやわらかいため素足でも履きこなせ、なおかつ履く時ややきつい感じがしても、履いてしまうとフィットします。
  H Dessaultはorange、blackの他にgreenとblueがあることが確認されています。Spora-subも他のメーカーと同様に色によって硬さを分けているものと思われますが、例えばblack bladeは現行モデルに比べて、以前に作られたものであるとそれほど硬くありません。ということで硬さの色分けについては現在調査中です。現行モデルでの硬さはblack>orange> green> blueとなるようです。ちなみにblueのブレードはぺろんぺろんで、「したじき」のような感じがしました。さらにH Dessaultはカーボンのブレードをもったradicalというモデルがあり、欧米では広く使用され、人気も高く、驚くべき屈曲性を持っています(思いっきり手で曲げるとフィンの先端がフットポケットの踵の部分にくっつく位、けどあんまり無茶に曲げると割れますよ!いちおカーボンなので)。ちなみに300$前後で販売されているようです。
 
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